2013年8月2日金曜日

「風立ちぬ」で碓氷峠に思いを馳せまくる

風立ちぬ、
今は秋。


紅葉越しのおじさんの背中 伊香保・河鹿橋にて


我々世代かその上の世代なら「風立ちぬ」とくれば「今は秋」と相場は決まっている。
作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一のゴールデンコンビに加え、歌い手に世紀のアイドル・松田聖子を迎えた1980年代を彩る珠玉の名曲だ。

風立ちぬ - 松田聖子

 さて、今回の本題ははっぴいえんどやシュガー・ベイブや多羅尾伴内ではないので、松本隆と大瀧詠一の話は切り上げる。

R.I.P. 大瀧詠一(2013年12月31日更新)

A LONG VACATION - 大滝詠一


 本題はジブリアニメ「風立ちぬ」で見た「碓氷峠」(うすいとうげ)に関する話だ。
劇中、都合三回ほど碓氷峠に思いを馳せるシーンがあった。


碓氷峠鉄道文化むら D51 96 

碓氷峠鉄道文化むらにて、お座敷列車「榛名」



まず一つ目は、帽子が飛ぶ箇所と、白いパラソルが飛ぶ箇所だった。
主人公・堀越二郎とヒロインの里見菜穂子が出会う列車の場面で二郎の帽子が飛び、軽井沢で再会する場面では白いパラソルが飛ぶ。
そこで西條八十の「ぼくの帽子」の詩を思い出さずにはいられなかった。
「ぼくの帽子」は角川映画「人間の証明」にも登場する物語の重要な鍵となる詩だ。
詩の中で「ぼく」は、碓氷から霧積(きりづみ)へ行く道で渓谷に落ちてしまった僕の麦わら帽子はどうなったのでしょう、と母に問いかける。
ママ〜 Do you remember♪ (人間の証明のテーマ)

また二郎は劇中「風」という詩の訳(誰が風を見たでしょう〜)を口にする。
その訳詩者は西條八十その人である。
やはりあの帽子のシーンおよびパラソルが飛ぶシーンは「ぼくの帽子」にオマージュを捧げているに違いない、と思った。


鉄道文化むらで見た、最も美しい列車

 二つ目は、ドイツのユンカース社を視察するシーンで登場した航空機のボディを見たときだった。
 メタリックに輝くボディを見た主人公は「美しい…」と感嘆したが、私も同じことを思った。
そして碓氷峠鉄道文化むらで見た、施設内でも最も美しいと感じたあの列車のことを思い出した。

家に帰って鉄道文化むらで撮った写真を漁って見てみて、あらビックリ。

EF3020は三菱重工製

最も美しい列車「EF 3020」は三菱重工製だった。
二郎が勤め、戦時中ユンカース社の爆撃機をライセンス製造していたのが三菱重工だ。
どおりであの航空機に似ていたわけだ。




碓氷峠第三橋梁(めがね橋)

三つ目は、二郎が軽井沢休暇へ向かう道中、碓氷峠の「めがね橋」の上を列車が走っていくシーンだった。

長野新幹線開通にともなって廃線になってしまったが、昔は東京から軽井沢へ向かうには横川駅を経由して碓氷峠を越える信越本線を使う以外なかった。
信越本線の高崎発の終点は横川駅だが、以前は横川から軽井沢駅まで繋がっていて、新潟の直江津駅まで行くことができた。
今は横川駅から軽井沢駅まではバスでのアクセスのみとなっている。
バスの通称は「めがねバス」といい、バス車中からめがね橋を見ることができる。

廃線の一部が今「アプトの道」という名称の遊歩道として整備され、廃線跡を歩くことができる。
もちろんあの「めがね橋」の上も歩行可能だ。

何番目かの橋梁。その左に「アプトの道」への階段が見える




私はエンディングテーマの「ひこうき雲」の余韻(ストーリーとのリンク具合に驚嘆したが)もそこそこに、


「そうだ!碓氷アプトの道へ行こう!」


と思わずにはいられなかった。
だが連日の雨模様のため、いまだにアプトの道ハイキングには行けておらず今日に至る。
梅雨よ、早く終わってくれ!

風立ちぬ - 堀辰雄

しかも躊躇している間に、アプトの道途上にある「峠の湯」が火事により焼失してしまったという非常に残念なニュースが飛び込んできた。

上毛新聞より


アプトの道ハイキングの際には是非立ち寄りたいと思っていた場所だけに、非常に残念な思いだ。

「峠の湯」の関係者の方には心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い再建をお祈り致します。

(後日、旧丸山変電所まで行ってきました。→ 前略、アプトの道の上より

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