2015年4月11日土曜日

熊谷に住んでるのに「田舎っぺうどん」を食べないのはどこのどいつだい?

あたしだよ!

はい。とっても懐かしいギャグが出ましたね。
ここ熊谷に越してきて8ヶ月ほどすぎた本日。
ようやく念願の味だった「元祖田舎っぺうどん」の肉汁うどんにありつくことができましたので、ご報告をば。

 
埼玉名物「肉汁うどん」


埼玉のソウル・フード「肉汁うどん」とは

今年2月に取材でお邪魔した大宮の日帰り温泉施設「さいたま清河寺温泉」の社長にインタビューした際、初めて耳にしたのが問題の「肉汁うどん」でした。
清河寺温泉のお食事処でも人気メニューとなっている「肉汁うどん」は、埼玉県のご当地グルメなのだとか。
埼玉県内を走っていると、ロードサイドで「肉汁うどん」の旗が立ったうどん屋を数多く目にします。

香川につぐうどん大国でもある埼玉のうどん屋には必ずあるメニューなんだそうで、社長に「肉汁うどんって何ですか?」と質問すると「え!? 普通の肉が入った、普通のうどんですw」と驚かれました。
群馬県民的にはほとんど馴染みがなかったので、こちらも「普通の!? いや、普通かな?」と驚きました。

「肉汁うどん」とは、あつもりのざるうどんとつけ汁のセットで、つけ汁の中に豚肉やネギ、場合によってはゴボウなどが入ったうどんのことです。
「鴨南蛮そば」のそばがうどんになった、鴨じゃなくて豚肉のバージョン、さらにつけ汁バージョン、というとわかりやすいような、余計わかりにくいような、まあ、そんな感じです。

その次の取材でお邪魔した大宮大成の「おふろcafe utatane」でもカフェメニューにはしっかり「肉ねぎ汁うどん」が入っていたので、ああやっぱり「肉汁うどん」は埼玉県民のソウルフードなんだなあ。と感じたものです。

 「元祖田舎っぺうどん」は男の中の男麺だった

 そんな「肉汁うどん」についてのエピソードを埼玉県の方々に聞くうちに、いつか食べてみたいなあと思いをはせて早2ヶ月。

また別に、鶴ヶ島市出身で熊谷にも縁の深いライター・大塚幸代さんの記事、「讃岐のうどんマニアに埼玉うどんを食べてもらった - デイリーポータルZ」で「田舎っぺうどん」なるものを知り、絶対食べよう!と思っているうちに月日は流れ、つい先日その大塚さんも亡くなってしまいました。

そこから一週間たって、ようやく今日「田舎っぺうどん市役所前店」にたどりつきました。
長かった…

ただその前に、店頭販売のみの「田舎っぺうどん八木橋前店」に行ってしまいました。
ええ、ショックでしたよ。
店頭販売のみなんですから。
こちとら腹すかしてんだ!今すぐ田舎っぺうどんを茹でて出せよこの野郎!って勢いですから。
気分はすっかりモンスタークレーマーですよ。


普通盛りが648円。驚きの値段です。

 さて。市役所前店に入店するやいなや、値段もメニューもろくに見ないままに「肉汁うどん」(肉ネギ)をオーダーしました。

「大盛りですか?普通ですか?」と聞かれたので即答で「普通で大丈夫です!」と大盛りへの誘惑を振り切りました。
「高崎のパスタ屋で大盛りを頼む者は命知らず」という教訓を思い出したのと、なんとなく同じ北関東圏なので、ここで大盛りを頼んだらダメだ!と思ったのです。
大変ボリューミーな実物が出てきたときは「さきほどの判断、賢明であったな!」と自分で自分を讃えました。

 

 出た!肉汁うどん。
「やっと会えたね」。
久しぶりにこのセリフが頭をよぎりました。

麺がとにかく太いんです。極太です。
しかも太さがバラバラ。
死んだおばちゃんが打ってくれた自家製のうどんを思い出し、とても懐かしい気持ちになりました。
要するにいい意味で素人っぽいというか田舎くさい麺なのです。

先の大塚さんの記事では田舎っぺうどんをはじめとした埼玉のうどんは「武蔵野うどん」と呼ばれ、腰があって、無骨で、固い「男麺」なのだそうです。
腰がとんでもなく強く、噛みごたえがすごくて、ときどき「やあやあ、これはこれは。真打ち登場ですな!」と表現したくなるような、とんでもない歯ごたえの一本が紛れていました。
私が孫悟空なら「おめえつえぇな。おら、ひさびさに興奮したぞ!」と言うことでしょう。
孫悟空じゃない私は「(ふむ)(もぐ)(ふむむむっ!)(もぐもぐ)ズズズーッ」と言うだけです。
その固ーい、強ーい、一本に出会うたびに、ちょっと興奮してしまいました。軽くぼっ、いや、ぬ(以下自重)

つけ汁の方はといいますと、普通盛り税込み648円にもかかわらず、豚肉がけっこうたっぷり入っています。
豚の脂と極太極堅うどんの相性がまたいいんですよこれが。
もしゆで汁をいただけていれば、飲み干していたかもしれません。
本当はなすのつけ汁の方がスタンダードらしいのですが、当分は「肉ネギ」一本で行こうかなと思います。



出てきた伝票がこんな感じでびっしょびしょに濡れていて、つけ汁も気づいたら「ツツツー」とテーブルの上を滑っていました。

カウンターのむこう側を見ると小麦の粉で真っ白、置いてある小さなアラーム時計も粉まみれで真っ白でした。

だが、それがいい!

何がいいのかわからないけど、これもまた風情があっていいじゃないか!
なんだかそんな豪快な気分にさせてくれる「田舎っぺうどん」でした。

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