2013年8月15日木曜日

前略、アプトの道の上より

前略、アプトの道の上より


あの日から空への憧れが止まらない。

絶賛公開中の大人向けジブリ映画「風立ちぬ」を観てからというもの、ふとした瞬間に「ひこうき雲」のメインフレーズ「空に〜 憧れて〜♪」が頭の中をかけめぐる毎日をすごしている。

ひこうき雲 - ひこうき雲 - Single

「風立ちぬ」で碓氷峠(うすいとうげ)に思いを馳せまくる

「風立ちぬ」は関東大震災からの復興目ざましい東京を中心に、主人公・堀越二郎の勤め先である三菱重工がある名古屋や、牛が航空機を運んで行く飛行場がある岐阜県各務原、視察先のドイツ、ヒロイン・奈穂子と再会する休養先の軽井沢、奈穂子が療養する富士見高原などなど、様々な土地が舞台となっている。

そんななかでも群馬県民的にはとくに休養先の軽井沢へ至る前に列車が通り過ぎてゆく、我らが碓氷峠の様子が頭から離れない。


 ポッポタウンのトロッコ列車シェルパくんと妙義山のコラボ

映画の中の舞台をめぐりたくなったのは、聖蹟桜ヶ丘が舞台となる、同じジブリの「耳をすませば」以来だと思う。



峠路探訪 アプトの道の起点

アプトの道は、かつて横川駅から軽井沢駅間を結んでいた信越本線の一部で、登山鉄道の一種である「アプト式鉄道」の跡地を巡る、往復約4時間のお手軽なウォーキングトレイルコースだ。
横川駅を出て碓氷峠鉄道文化むらへ向かうと、すぐ脇にアプトの道の起点がある。
終点は熊ノ平駅で、途中碓氷湖を経由し、あの「めがね橋」の上を歩くことになる。



何度目だ、おぎのやの「峠の釜めし」

ハイキング開始の前に、やはり腹ごしらえはかかせない。
横川付近で腹ごしらえといえば、おぎのやの「峠の釜めし」に限る。

No.1駅弁 横川の「峠の釜めし」-群馬に生まれてよかった!と実感できる数少ない名物

横川駅前の道路を挟んだ向かいにあるおぎのやのドライブインは、平日の昼下がりだというのに激混みしていた。
ああ、夏休みか。TUBEか。



この日は営業していなかった麻苧茶屋(あさおぢゃや)の前を素通り。
営業中の折にはこの木陰の下で一服してみたいものだ。



金鳥、キンチョール、ダイヤ学生服、日の出桜学生服のホーロー広告看板

アプトの道から少し脇にそれ、碓氷峠の関所跡へ向かうとある路上にて、昭和ノスタルジーなホーローの広告看板群を発見した。
金鳥、キンチョール、ダイヤ学生服、そして初めて見る日の出桜学生服の看板があった。


碓氷峠の関所跡

上毛かるた「う」の札でもお馴染み「碓氷峠の関所跡」。
ここでは真田幸貫の家来・座間百人という人が碓氷峠関所の役人に提出したという通行手形の写しがもらえた。

前略、アプトの道の上より

アプトの道の上より。
遠くの真っ青な空に浮かぶあの白い雲が「風立ちぬ」のポスターのビジュアルを連想させなくもない。
こうして見ると普通の田舎道に線路が走っているようだが、実は右も左も山に囲まれており、「熊出没注意」の看板も立っているほどの山合である。
万全を期すタイプの人ならば、熊鈴を持って行った方がいいだろう。
前方に見える上信越自動車道の碓氷橋の下をくぐり抜けると急に雲行きが怪しくなり、雨がぽつぽつ降ってきた。



傘をさそうか迷っているところに、トロッコ列車のシェルパくんが旧丸山変電所方向からやってきた。
小降りの雨の中、急いでカメラを構えたものの、思いのほかゆっくりやってきたので吹き出してしまった。
夏休みなので列車は子どもたちであふれており、その中の一人が少し照れくさそうにこちらに手を振ってきたが、私はぼーっと見送るだけだった。
この日の最高気温は35度。
暑さで頭がやられていたのか、手を振っている相手は自分じゃないだろうと判断して振り返さなかったが、ふと周囲には自分以外誰一人いないことを思い出し、しまった!と思ったがもう遅かった。
トロッコ列車はのろのろと私の前を通りすぎて行ってしまった。
ずいぶんぼんやりしていたものだ。



天気雨のような奇妙な陽気のなか、国指定重要文化財のレンガ造りが美しい旧丸山変電所に到着。
写真を見ると完全に晴れているようだが、カメラのこちら側は鈍曇りだった。
ここは日本海と太平洋の中央分水嶺となる峠で、気象の変化が非常に激しい場所なのだ、ということを思い知らされる。
そういう気象条件の影響なのか、先日の「峠の湯」の火災ではなかなか鎮火しなかったらしい。


旧丸山変電所の機械室の建物

 

丸山変電所にある二つの建物の内、機械室の方の内部の様子。
どうやら補修中のようだ。
緑の木漏れ日が溢れて美しい。
入口にはしっかり鍵がかかっていたが、このように補修されているということは、いつか内部が一般公開される日が来るのだろうか? 

建物の前にある立て看板の説明によると、変電所の建物は「蓄電池室」とこちらの「機械室」の二つで構成されており、蓄電池充電中は水素と有害物質の硫酸雲霧が大量に発生するので、換気のためにこのような大きな窓や引き戸が必要だったのだそうだ。




シェルパくん用の「まるやま駅」案内看板。
とはいえシェルパくんは「ぶんかむら駅」から「とうげのゆ駅」を往復するだけで、この「まるやま駅」には停車はしないらしい。


時間の都合でこの日は旧丸山変電所までのハイクで終了した。
続きは近日、必ずや。

そして完結編へ。
↓↓↓
アプトの道巡り完結編。トンネルを抜けるとそこは…

風立ちぬ - 堀辰雄

この日のおみやげ。
桔梗屋の信玄餅、野沢菜漬け。

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